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フンデルトヴァッサーって知っている?
いやいや、果物の種類でも、炭鉱の町の名前でもない。 彼は、芸術家だ。その作品は人々の心を優しくかつ大胆に開かせ、自然との対話や協調を促進させ、見る者の息を思わず止めてしまう程の色彩の洪水だ。その鮮明な色たちは、芸術家の腕により完全なる調和を獲得する。そして完全なる黒色の中で、黒色そのものの美しさを引き出してくれる芸術家はそれ程多くはない。 また、フンデルトヴァッサーの絵で特徴的なのは、直線を好まず、渦や曲線で溢れ、幾筋もの線が重なり合っていく点にある。そして、不思議にもそれを見る私をその世界にしばし身を任せてみようかと思わせる。もちろんその際どい色使いや、少々おどろおどろしくも見て取れる人間の表情は、万人受けではないかもしれない。しかし何と言おうと、『Friedensreich Hundertwasser』。―彼は確実に、私が一番好きな芸術家の一人だ。 フンデルトヴァッサーが誰かはよく分からない?オーストリア・ウィーン生まれの彼は、時に版画家で、またその他の時は建築家と、本当に幅広い活動をしている。ドローイング、水彩をはじめ、ミクストメディア、グラフィック、タペストリーまで何でもござれ。 芸術家と言えば聞こえはいい。でも、これってどうなんだろう。最近はなんでもかんでも「芸術」と言ってしまえば、それが途端に崇高なものに捉えられるきらいがある。彼の場合は一部の人々も言っているようだけど、おそらくartistよりもthinkerがぴったりなのではないかと思う。何故ならば彼の場合は、感性やフィーリング等目に見えなくて、だから言葉で説明し難いもの、なんかではなく、そこにきちんとした意思が示されているのだから。大きな本屋さんに行って彼の作品集をこっそり手にとって見るといい。彼の思いや考えが綴られたその作品は、ただの画集ではないはずだから。綺麗でお洒落で冷静なものの形式化ではない。そこには確実に、かなり毒々しくて、きわどくて、騒がしいメッセージが残されているはずだから。 フンデルトヴァッサーは、人間は五つの皮膚を持つと言う。 1... 生まれながらの自分の皮膚 2... 自分の着る物 3... 自分の住んでいる家 4... 自分が属している共同体、地域、国 5... 自分を取り囲む自然の環境、宇宙 フンデルトヴァッサー「フンデルトヴァッサーの世界展」伊勢丹美術館より また、人間の便利やエゴイズムのために自然が疎外されていること、また西欧近代といがいかに人口環境であるかを危惧し、自然の回復を求めている。 どうして、建築物へ思想が飛んだのか? 「視覚的な汚染は最も危険である」 「それが人間的な心を殺すから」(図録114より) こんな過激な言葉を証拠に、建築家でもある彼は貪欲に多くの建築物を手がけた。結構有名なのは、オーストリア・ウィーンにあるごみ焼却場。また、大阪湾にも姉妹工場として、舞洲工場というごみ焼却場がある。確かに、そこには彼のメッセージが沢山含まれていて、一瞬どきっとさせられる。それは確実に、直線の世界への挑戦で、自然に戻ることの重要性を物語っている。とはいえ、その奇抜なデザインと色彩ゆえに、ごみ焼却場の美しさという点ではどうしても賛否両論らしい。絵として見ている分にはいいが、それが建物になって突如目の前に現れると、その強烈さにやっぱり誰だって立ちすくんでしまうかもしれない。 それならば、やはり彼の作品は、まずは二次元の世界から始めてみてはいかが?規律化が進んで、角張った世の中で、フンデルトヴァッサーの作品は、きっとあなたを新鮮な気持ちにしてくれるから。 http://www.kunsthauswien.com/english/hundertwasser.htm http://www.hundertwasserhaus.at/HwH/1st.html http://www.grinch.ca/HTML/Hundertwasser/Hundertwasser.htm 【三木はる香】 |