私は昔から「食」好きである。食べるのが好きというだけでなく、料理番組を見るとか、料理の作り方の本を読むとか、なぜだか体が自然に食関連の方に行ってしまう。なんだろう、料理が絡んでいると心が浮き立つのだ。肝心の作る方は、好きだけれども本を頼りにしてしまうので、まだまだ心もとないのだが。昔は普通においしそうなものを眺めて作っているので満足していたが、そのうち食べ物の栄養バランスだとか、健康によい料理だとかが気になるようになってきた。最近は世の中もそういう流れらしく、雑誌や本でもさかんにスローフードやマクロビオティック、長寿食などの特集を見かける。それらに惹かれて眺めているうちにふと「キヨズ・キッチン」の名前が飛び込んできた。

 「キヨズ・キッチン」は、オーナーの南清貴さんが「自分の家族や大切な友人に食べさせらないものはお客様にも出さない」ということをモットーの1つとして開いたレストランである。その料理はすべて「オプティマル・ヒューマン・ダイエット(人間にとって最適な食事のシステム)」という考え方に基づいて、素材や組み合わせに徹底的にこだわって作られている。何よりも、彼の「僕たちが表現したいことを実現させるのにもっとも適したカラダとココロになるための、栄養システム」という言葉がいい。レストランではドリンクとしてビール、日本酒からワインまで種類が整っているのも、健康によいお酒ということで、なんだかうれしい。

 オーナーの南清貴さんはもともと舞台演出家を志して劇団で演出法を学んでいた。そのときに心とからだの結びつきに興味を持ち、整体指導者である大伯父に指導を受け、プロの整体指導者として活躍するようになった。そして子育てなどを通して次第に食とからだのつながりに目覚めていったという、おもしろい経歴の持ち主である。そして1995年に、現代栄養学と整体理論を合わせて独自のコンセプトで、オーガニックな野菜・穀物・豆類などの素材の持ち味を生かした料理を提供すべくキヨズ・キッチンを開店させるに至った。

 料理を見ているだけではつまらないので、実際に食べてみたいと思った。調べてみると代々木上原に本店があり、渋谷東急東横Food Showと六本木ヒルズにデリのお店があるらしい。早速渋谷に出向き、デリのお店で豆腐のドライカレー、和野菜のラタトゥイユ、豆乳のティラミスを買ってきて食べてみた。豆腐のドライカレーは名前の通り素材のメインが肉ではなく豆腐で、玉ねぎやれんこん、なすなど野菜類がたっぷり入っていて、豆腐のまろやかさにに新たな一面を見せられた気がした。和野菜のラタトゥイユ、豆乳のティラミスも、素材が一工夫されていて普通のラタトゥイユやティラミスよりも風味が優しかった。今度はぜひ本店に行って、できたての料理を食べてみたい。南さんにも会ってみたい。

 南さんいわく、「キヨズ・キッチン」のようなコンセプトを持つレストランは今後日本でも増えていくようだ。すでに欧米などの海外ではそういったレストランが顧客を集めて、少なからず存在しているらしい。実際、日本でもそういうレストランは増えてきていると思う。消費者側の健康に対する意識の高まりが、反映されているのかもしれない。「食」は人間が生きていくために欠かせないものであり、自分の食べるものにこだわり、「食」を楽しもうとすることは、日々の幸せにつながっていくと思う。

 参考図書:『シンプルごはんの思想』(南清貴 著、三五館)
 キヨズ・キッチン ホームページ:http://www.kiyos.jp/

【白土翔子】