SKの出鱈目哲学
SKが自分の世界を気ままに語るコラム。
 


 5年目の大学生活ということで、これまで以上に自由な時間を持つことができるようになった。そのせいか、最近電車に乗って駅周辺の町をぶらつくことに興味を持つようになった。本当は18切符を使って全国津々浦々に行きたいのだが、大学の学期中であり、またお金もないため基本的には東京地域をまわっている。3月から5月にかけては就職活動で使った定期券があったため、自由気ままに街めぐりをすることができた。

 いろいろな街を訪れてみると、街ごとの特徴が分かってくるのは言うまでもないだろう。しかし街めぐりのもたらすものはそれだけではない。衣食住というように、やはり人間は自らが住んでいる環境に対して無関心ではいられない。そのため街めぐりは街の特徴が分かるだけではなく、住に対する自分自身の好み、ひいては自分自身が理想とする街(つまり自分自身が住みたい街)も分かってくる。

 私自身東京近辺を巡って一番気に入った場所はJR中央線沿線の荻窪、高円寺、中野に至る地域である。特に高円寺駅周辺は、駅周辺の見苦しい駐輪状況を除けば人間味あふれる下町という粋な雰囲気に満ちており、機会があれば是非住んでみたいと好印象だった。

 高円寺といえば、ねじめ正一の小説「高円寺純情商店街」において人情味あふれる商店街の模様が書かれている地域である。高層ビルは少なく、商店街はチェーン店ではなく個人経営の店舗が多い。商店街はにぎわっており、老若男女問わず多くの人が街にいる。夜になるとネオンによる人工的な明るさではなく、薄暗く自然な明るさになる。確かに「高円寺純情商店街」に書かれているように、ここは活気があってぬくもりのある街である。

 ただ個人的には高円寺の魅力は商店街だけではないと思っている。商店街とは逆方向、駅の南口を降りてまっすぐ行ったところで突き当たる大通りに多くの個性的な古本屋があるのも魅力だ。様々なジャンルの興味深い本がたくさんあり、新刊ばかり並んでいるチェーンの本屋に比べて飽きがこない。個人的にはかなりお世話になっている地域である。

 このような下町が好きなせいか、新宿や渋谷といった人の多い都心はあまり好きではない。人が多すぎて騒々しく、落ち着かないからである。吉祥寺も駅から離れた辺りは好きなのだが、駅の周辺が騒がしすぎるのがマイナスとなっている。まあ都心は様々な機能が集約する場所であるため、その便利さを考えれば多少の騒がしさは我慢しなければならないだろう。住むのではなく、訪れる場所としては良いと思う。

 苦手なのは活気のない街である。これには2種類あり、一つは街全体が寂れた古い街、もう一つは真新しいビルが並ぶが人気が感じられない新しい街である。

 古い街の代表としては新宿と中野に挟まれた東中野、大久保近辺が挙げられる。いわゆる都心に挟まれたインナーシティであり、若者の姿は少ない。夜になると人自体が少なくなり、街を歩いていて人に会ったり家の明かりを見るとほっとしてしまうほど心細くなる。

 新しい街の代表としては多摩ニュータウンである。新しい建物で整然とした街並みからは、近未来都市のような印象を受ける。しかし建物がきれいすぎるせいか、住宅街であるにも関わらず、街全体が冷たく非人間的な印象を受けるのだ。夜になるとその印象はますます強くなる。人の姿が見えない上に街全体が静まり返っているため、ものすごく不気味である。

 このように両者を対比してみると、同じ活気のなさとはいえ、古い街と新しい街とではその性質は完全に異なっていることが分かる。古い街は街全体が古いから活気がないのに対して、新しい街は建物が新しすぎて人間味を失っているから活気がないのである。

 さて、それでは街の活気とはどのようなものなのだろうか。またどうしたら街に活気があふれるようになるのだろうか。次回はこの2点を考察したい。

【開発俊輔】