SKの出鱈目哲学
|
![]() |
|
「オッカムの剃刀」という言葉がある。「ある事柄を説明する仮説が二つある場合、より複雑な方が真実である証拠が出ない限り、より単純な方を選べ」という意味であり、より噛み砕いて言うと「物事は分かりやすい方が良い」ということになる。 単純なものは複雑なものより優れているとは必ずしも一概には言えないかもしれない。しかしこと「分かりやすさ」という観点においては、単純なものの方が良いと言える。 社会事象や物事は単純に割り切れるものは少なく、基本的には複雑である。そのためその分野に通じていない人にとってはどこから取っ付けばよいのか分からないのが普通である。世にパソコン雑誌は多く存在するが、初心者にとっては何を読んでいいかは分からないだろう。 そのため、複雑な事象や物事を分かりやすく伝えるというのは一つの功績となる。従来理解されてこなかった事象もしくは物事を一般にも広めるということは、その分野に興味のなかった人にもその良さを広めたということになる。 しかしここで留意しなければならない点がある。単純化の過程で生じる問題である。 前述の通り、事象や物事というのは基本的には複雑なものである。それを単純化するということは、単純化の過程で削られてしまうものが存在するということになる。そして削る際の判断基準は削る人間に委ねられている以上、そこから生み出されたものは削った人間の色がついたものとなる。それは事象・物事の本来の姿ではなく、削った者(つまり分かりやすく伝えた者)の解釈に過ぎない。 そのため初歩の段階を過ぎたら、分かりやすい解釈を卒業して事象・物事の本来の姿に近づけるように自ら向かっていかなければならない。本当に優れた価値というものは万人受けして誰にでも分かるものではなく、より複雑で取っ付きにくいものである。甘口ではなく苦いものである。しかしその苦さを乗り越えてこそその本当の価値が分かるというものだ。分かりやすい解釈で終わってしまって森を見た気分になってはその事象・物事の本当の良さを理解したことにはならない。 「分かりやすさ」というものは、難解な事象・出来事を理解できるという点では良いのだが、そこに甘んじて思考停止に陥ってしまう罠が存在するということを肝に銘じておきたい。 【開発俊輔】 | |