「職人」の2文字から連想されるもの。
寡黙・短気・頑固の三拍子揃った親父か、それとも手先に宿る魂、あるいは厳しい親方徒弟制? いずれにせよ、脳裏には過ぎ去りし時の風情が甦っているに相違ない。だが、そんないにしえの時は移ろって、時代は21世紀。時流は大量生産に使い捨て。叫ばれる言葉は飽食にモノ余りだ。
しかし、こんな現代にもモノ作りを生業とする人々はいる。時勢を反映してか、職人のあり方は随分と変わった。だが、伝統や心を受け継ぐ姿や、一見無造作でありながらツボを心得ている技、一つひとつに心をこめた丹念な創作振りなどは、まさに「職人」そのものだ。
今回、そんな「職」の現場に赴いた私たちが、彼らの真摯な姿に触れ、思いを綴ったのがこの手帖。伝統と新風との狭間で生きる、9人の名工が集った。どのページをめくっても、彼らの熱き半生と確かな未来への道筋がきっと記されているはず。